英検協会は2026年度実用英語技能検定(英検)について「全級一律で受験料を100円引き下げる」と発表しました(出典:英検サイト(PDF))。
このニュースは一見「受験者にとってお得」と受け取れます。確かにこれから英語学習を始める子どもたちのご家庭にとっても、検定料が安くなるのは歓迎すべきことです。特に幼児〜小学生など複数回受験する可能性がある場合、数百円の節約が重なることになります。
ただここで立ち止まって考えたいのは「1人あたりの100円」は小さくても、数万人・数十万人分となると大きなコスト変化だという現実です。
100円引きは個人にとっては小さいが、協会にとっては大きな収入減
例えば本会場での受験料が2025年では2級 9,100円 → 2026年は 9,000円、3級 6,900円 → 6,800円 と改定されています。これが数十万人分になれば、協会の収入ダウンは無視できません。
協会側は文書の中で「AI・ICT の活用による効率化でコスト削減を進め、受験者支援を拡充するための措置」と説明しています。しかしながらコストが下がる一方で、試験の質の維持・合否集計・採点・管理・出題の公正性など運営の根幹にかかわる要素を受験料減額の中で維持できるか?というのは、簡単に保証できることではありません。
つまり「子どもや保護者のための配慮」の裏で協会運営には将来にわたる負担増が積み重なっていく可能性があります。

それなら「値下げ」より「価値の向上」に使うほうが良いのでは
私たち保護者・受験者の立場から見れば「100円引き」よりもむしろ「そのコスト削減分を教材改善に」「採点制度や試験環境のアップデートに」「オンライン受験・多様な受験形態の整備に」使ってもらったほうが英語資格の価値・信頼性にとってはよほど意味があると感じます。
特に子ども英会話スクールや幼児・小学生を対象にする場合:
- フォニックス教材の充実
- 発音/リスニング対策強化
- 安心・安全な試験環境整備(例えば低学年向け配慮)
などが進めば「英検=ハードルが高い」から「挑戦しやすい・持続しやすい資格」へ変化するポテンシャルがあります。
100円の差ではなく将来の価値に目を向けて
英検の検定料100円引きは一見ささやかな配慮に見えるかもしれません。しかしそれは「個」の視点では小さくても「制度」としては大きな変化であり、今後の英語資格・英語教育のあり方を左右にする可能性を含んでいます。
だからこそ私たち保護者や教育者、スクール運営者は単なる値下げに安易に飛びつくのではなく「その分で何が変わるのか」「子どもにとって何がプラスになるのか」をしっかり見て、選択をしていくことが大切だと思います。






